良い両替所の見分け方

海外旅行へ行くときに, たぶん多くの人が, どこで両替すべきかについて悩むかと思います.

 

現金の両替をするところを選ぶ際に, 見るべきポイントを紹介します.

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(NUセントラルにある両替所) 

 

結論は

『売買価格差の割合が小さい所を選べ』となるのですが, 以下ではその話を長々と書いています.

 

マレーシア修行に行く際に, マレーシアでレートの良い両替所の情報をネットで調べました.

情報自体は結構でてきます. 

そのほとんどは, いくつもの両替所を回って, そのレートを比較しているというものです.

 

そして, KLセントラル駅直結のNUセントラルにある両替所がいいという情報があり, そのレートを見て, 確かにここが一番いいと感じました.

おかげで修行の際に何度もNUセントラルに立ち寄ったついでに, 両替させていただきました.

 

重要なの点は, 「この両替所が良いレートであること」ではなく, 

なぜこの両替所のレートが良いと感じたかという『理由』です.

 

この理由を知ることで, 両替所の良し悪し判別できるようになると考えています.

 

その理由は『売買価格差*1 の割合が小さい』ことです.

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これがある日のNUセントラルの両替商の提示しているレートですが,

1000円の売値が39.65RMで, 

1000円の買値が39.45RMです.

この差は0.2RMであり, これを売買値の平均39.55RMで割ると,  0.005056…

つまり, 0.5%ほどです.

これは非常に小さな売買価格差の割合です.

 

これが小さいと感じてもらう為に, 成田空港の両替所のレートを見てみます.

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日本円と米ドルの交換レートを見ると

外貨の売り(両替所から見たら外貨の買い)が108.38円

外貨の買い(両替所から見たら外貨の売り)が113.58円

価格差は5.2円です.

これを売買値の平均110.95円で割ると,  0.04686…

つまり, 4.7%ほどです.

0.5%と比較すると, 約10倍の非常に大きな数字です.

 

 

空港は特別悪いだけだろとお思いかもしれませんが, 日本の場合3%を切ることもめったにないと思います*2.

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大黒屋の通信販売レートで3.6%です(ただしこれには別途, 送料700円がかかります.)

 

 

 

何故, 売買価格差の割合が重要なのか 

まず両替商の儲けは, ざっくりと言うと, 売りと買いの価格差から発生していると考えることができます*3

なぜなら彼らは『(通貨を) 安く買い取って高く売る』ことをしています. 商売の基本ですね.

なので, 売買価格差をより広く取れば, より安く買ってより高く売ることになるので両替商が儲かり, 狭くすれば高く買い取って安く売るので両替商は儲かりません*4.

 

旅行者が両替取引をするときに, この取引から儲けをたくさん取る両替商より, 儲けの少ない両替商で交換したほうが良いのは自明でしょう.

  1. 良い両替商は, 取引ごとの儲けの少ない両替商.
  2. 儲けの少ない両替商は, 売買価格差が小さい.
  3. よって, 良い両替商は, 売買価格差が小さい.

ということです.

  

 

 

同じ交換(例えば, 円からマレーシアリンギットの交換)で比較する場合は, 売買価格差の値の大小でもほとんど大丈夫です.

 

しかし, 色々な通貨間で比較する場合には, 売買価格差を売買値の平均で割った割合で見る必要があります.

円から交換するのが, 米ドルか, マレーシアリンギットか, タイバーツか, 韓国ウォンか, ベトナムドンかで売買価格差の値でみると通貨によってが違ってくるためです.

 

例えば, 

  1. 1ドルの売りが101円で買いが99円の両替商A
  2. 1ウォンの売りが0.15円で買いが0.05円の両替商B

で取引されていた場合, 売買価格差はドルで2円 ウォンで0.1円となります.

売買価格差だけで見れば, ウォンの方が小さく, 両替商Bの方が良い両替商であるように見えます.

 しかし, 割合で見ると, 両替商Aは1%であるのに対して, 両替商Bは100%となり, 両替商Bの方が. 取引からより多くの儲けを得ていることになります.

 

この割合は, 色々な要素が影響しています.

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日本ではドルに交換したい人と比べて, ブラジルレアルに交換したい人はほとんどいないでしょう.

それを反映して, ブラジルレアルの価格差の割合は22.6%となっており, 米ドルの4.6%と比較して約5倍の大きさとなっています.

同じ両替所なので, 交換の需要の差がこの主因であると推測されます.

 

 

 

最後にもう一つ割合で見ることの利点を述べておくと「他の両替所と比較しなくても, 両替所の良し悪しが判断できる」ことです.

 

実例

以下旅の実例を幾つか, 今後増えていくかもしれません.

(1) 修行その6で訪れたブキ・ビンタン駅の両替所

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1000円の売値が39.0RMで, 

1000円の買値が38.2RMでした.

少しレートに変動があったのですが, 差額が0.8RM 割合で2.1%

急に交換しようと思ったにしてはかなり良いレートだと思いました.

 

ちなみにこの日のNuセントラルの両替所のレートは

1000円の売値が38.95RMで, 1000円の買値が38.65RMでした.

差額が0.3RM 割合で0.8%!

圧倒的な王者の貫禄ですわ.

 

 

(2) 修行でない旅行の香港の両替レート

香港国際空港のレートは

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1円の売値が0.0756HKDで, 

1円の買値が0.0648HKDでした.

差額が0.0108HKD 割合で15.38%です.

なかなかのくそっぷりです.

 

ちなみに香港の両替で有名な

f:id:s-majin:20170526101455j:plain重慶マンションは, 

写真で見えている入り口の両替屋は

1円の売値が0.0796HKDで, 1円の買値が0.0608HKDという

空港以下のクソレート.

差額が0.0188HKD 割合で26.78%です.

 

奥に入ると数軒の店が

1円の売値が0.0716HKDで, 1円の買値が0.0688HKD

というレートをだしてました.

 差額が0.0028HKD 割合で3.99%です.

 

めちゃくちゃいいというわけでもないですが, まあこの割合なら仕方ないかなという感じです.

 

1階でざっと見た感じ一番良かったのは

1円の売値が0.0713HKDで, 1円の買値が0.0691HKD

 差額が0.0022HKD 割合で3.13%でした.

*1:Bid - Ask Spread のこと. 用語としてはカタカナで「ビッド・アスク・スプレッド」と用いることがほとんどかと思います.「価格差」と使う場合もありますが, これでは何と何の価格差なのかわからないので, ここでは解りやすさの為に「売買価格差」という用語を使います.

*2:新宿の思い出横丁近くの金券ショップが並んでいるあたりでは, 2%を切っていた気がします.

*3:手数料を取る場合は手数料もプラスして考える必要があります.

*4:ここでは売買価格差の変化による需給の変化を無視しています.